《MUMEI》 昼食の支度をひと通り終え、デザートに御出しする果物を切っていると、ふいに扉が開く音がして、僕は振り返りました。 「アンリ様‥?」 「ごめん、ミシンの場所が分からなくて──」 「御心配無く。御連れ致します」 ミシンは確か──この階の御部屋にある筈。 「ええと‥」 どの御部屋だったでしょうか──。 まだここに来てからそれ程日が経っていない為、僕はの御邸の全てを知っている訳ではありません。 「───────」 1部屋1部屋、鍵を開けて確かめていく他無いようです。 前へ |次へ |
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