《MUMEI》

クラス発表があって欄チャンは5組、金本くんは6組だった。


金本くんと違うクラスで欄チャンは少し残念そうだったけど、そんなに悲しそうじゃなかった。


入学してから夏休みが終わるぐらいまでは、特に変わったこともなくて、欄チャンは金本くんを合同の授業で見かけたり、廊下ですれ違ったりするぐらいだった。


入学式にあった出来事も忘れかけていた頃、欄チャンは金本くんが告白をされているところを偶然見かけたんだ。


それから欄チャンは金本くんのことを前より、気にするようになった。


忘れかけていたあの寂しそうな笑顔を何度も思い出すようになっていた。


それから2年生になるまで欄チャンは金本くんに思いを募らせていったんだ。


欄チャンの心の中には毎日のように、『金本くんの本当の笑顔がみたい』って願いが溢れていた。


2年生になってクラス替えがあった日なんて欄チャンは、学校から走って帰って来たらしく息を切らしながら部屋に帰って来た。


そしてベットにダイブして布団に顔を埋め、消え入りそうな声で


「金本くんと……同じクラスだった」っと言った。


その時の心の声は、とても大きくてしっかりと僕に届いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫