《MUMEI》

ようやく昼食の支度が終わり、アンリ様を御呼びする為、あの御部屋に向かいます。

ノックをしようとした時──‥

「‥?」

ガチャリ、と扉が開いて、アンリ様が出て来られました。

「ごめん、時間忘れちゃってて──」

「いえ、今丁度──御伺いしようと」

すると安堵したように、アンリ様は微笑みました。

「お昼が終わったら、またあの御部屋にいていい?」

「はい。──御無理は‥なさらないで下さいね」

「うん。でも楽しいから」

そう仰ったアンリ様は──何だか生き生きとして見えました。

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