《MUMEI》
ブリザード
「…全くあんた達は」


クリスマスパーティーを行った居間にやってきた俺と頼を見て、果穂さんが口を開いた。


(こ、怖い!)


その声は、背筋が凍るほど冷たく


夏なのに、俺は震えていた。


「祐也のせいじゃないよ」

そんな俺に、頼は珍しく優しく話しかけた。


「じゃあ、何で?」

「それは…」

「あ〜! 祐也!? 何で? 何で祐也が来てんの!?」

頼の答えは、今日のもう一人の主役


厳によって遮られた。


厳は制服から私服に着替えていた。


「…着替えてくる」


そう言って、頼は部屋に行ってしまった。


(もしかして、俺、場違い?)


周りを見渡すと、全員私服で


何故か、全員女子だった。

そこには、松本・朝倉・石川の三人の姿もあった。


彼女達は全員厳に呼ばれたらしく


頼が呼んだのは、俺一人だった。


(どうしよう)


オロオロしていると


「祐也」

「は、ハイ!」


未だにブリザード状態の果穂さんが話しかけてきた。

(『帰れ』と言われたら、すぐ帰ろう!)


俺は、鞄を握り締め、冷や汗を流しながら、果穂さんの言葉を待っていた。

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