《MUMEI》

アンリ様に淹れて頂く紅茶は、とても美味しく感じます。

「───────」

「あのね、リュートの衣装も完成したの」

「もう、ですか?」

「うん。絶対リュートに似合うはずだよ」

「──それは楽しみです」

でも僕はある意味、このままでも仮装になっているかも知れませんよね──。

「リュート‥?」

「‥ぁ、すみません」

どうも──僕は空想癖があるようです‥。

「ねぇ──」

突然囁かれた、甘えるような声。

戸惑いながらも、僕は平静を装います。

「はい、アンリ様」

「隣りに‥くっついてもいい‥?」

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