《MUMEI》 「これでよし!!」 「………」 椎名くんは、黙ったまま鏡を見つめている。 …やっぱり、お化粧は嫌だったんだろうな… 「あの、やっぱり取ろうか…??」 私がおずおずと声を掛けると、 椎名くんはハッとしたように私を見て、 「…や、我慢するよ」 と答えた。 椎名くんが、私の代わりにお祭りに行ってくれることになった。 …でも、正直心配、だったりする。 大丈夫かなあ… 「ねえ、椎名くん」 「うん?」 「椎名くんって、西城先輩のこと知ってるの??」 「へ??知らねーよ……あ、1回会ったか。何で??」 「…えっと、その―…」 「なんだよ?」 「…し、椎名くんから見て、どうかな??」 「はあ?…なにが」 「だから、西城先輩。…カッコよかった??」 「………」 椎名くんが、黙ってしまった。 …呆れちゃったのかな…?? でも、 『男の子から見たら、先輩ってどうなのかな』 って気になって…。 「…かっこよかったよ」 「…え??」 「スッッゲー、カッコよかった」 笑って言う椎名くん。 「…そっかあ」 なんだかホッとした。 そうだよね、私は西城先輩が好きなんだもん。 前へ |次へ |
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