《MUMEI》
日曜日 〈おれ〉
「これでよし!!」



「………」



恥ずかしいけど、いやこれはマジで。


みとれてしまった。


化粧で、なんか大人っぽくなった蓬田に。



「あの、やっぱり取ろうか…??」



おずおずと声を掛ける蓬田に、
おれはハッとして蓬田を振り返った。



「…や、我慢するよ」



そう答えたけど、内心はめちゃくちゃ嫌だった。


化粧の違和感もだけど、



『西城先輩』のために化粧すんのが、
いつもよりスッゲー、……可愛くなってんの、が、



どうしようもなく悔しかったから。



「だから、西城先輩。…カッコよかった??」


「………」



何を言い出すかと思えば、そーゆうことかよ。


…勘弁してくれ。



でも、蓬田があんまり心配そうな顔をするもんだから、



「…かっこよかったよ」


「…え??」


「スッッゲー、カッコよかった」



って、答えてやった。
笑顔までプラスしてやってんの、おれ。



「…そっかあ」



安心したように微笑む蓬田から目を逸らす。




―…スッッゲー、ダサい、おれ。

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