《MUMEI》

「代はここに置いとくぜ」

 草助はお代を置くと、又しても溜め息を吐き、どかりと腰掛ける。

「やれやれ‥」

 それもこれも、全てこの侍娘のせいなのだ。

 助けてやった礼に、付いて来る、と言って聞かないものだから、仕方無しにこうして連れ歩いているのである。

 団子を手に目を輝かせる雛菊に、

「それ食ったら行くぞ」

と念を押し、草助は出された茶を啜る。

 さて、これからどうしたものか。

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