《MUMEI》
〈第二十三話〉同じ空の下で…
…バチーーーン…

彼女は、僕の頬を平手打ちした。彼女の顔は、涙でぐちゃぐちゃだった。
『バカッ…なんだ…から…』


そう…僕は、バカな事を考えていた。
ここ〜屋上のフェンスを乗り越えて…飛び降りようなんて…


彼女が指を上に向けた…

『??』

『綺麗な青空だよ…この空の下に…沢山の人達が生きている…

でも〜この一分一秒に、どれ程の尊い命が消えているのか…

無益な戦争で〜罪もない一般人が…
病院では〜生きたいと願う小さな魂が…
街では〜無差別に殺戮をする犯人に奪われた人々が…

皆…生きたいと願っていたんだよ。なのに…あなたは…生きられるのに…

命を粗末にしないで…』


…うん…ごめん…


『あなたの〜辛い気持ちは、あなたにしか分からないと思う…

余程、思い詰めてたんだよね…

でもね…自ら命を絶つのは、間違ってる…

辛い時は〜俯いて泣いちゃダメだよ?
前を向いて〜風に涙を乾かして…
上を向いて〜空に涙を吸い込ませるんだよ。

するとね〜あなたの辛い涙が浄化されて、雨になって舞い降りてくるから…

そして…あなたや、この空の下の人々の心を優しく癒すから…』

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫