《MUMEI》 「‥?」 うっすらと目を開けられたアンリ様。 「御目覚めに──なられましたか?」 「ぁ‥」 慌てて僕から離れると、 「ごめん‥」 頬を染めて、不安げに僕を見上げられました。 その仕草は、抱き締めたくなる程に愛らしくて堪りません。 「──リュート‥?」 返事が返ってこないので心配になったのでしょう。 碧い瞳が潤んでいます。 「申し訳ございません‥うっかりしてしまって‥御迷惑を‥」 「嫌だった‥?」 「──いえ、嬉しかったですよ」 前へ |次へ |
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