《MUMEI》 「ああ‥あの夜はたまたま用が長引いてな、近道をしようと思ったのだが──囲まれてしまったのだ」 「お前、一応侍なんだろ?」 「一応とは失敬な!」 「つってもさ、まだ半人前だろ?」 「む‥っ」 「‥そのお前が、太刀打ち出来ねぇような相手に歯向かったりしたら危なくなるのは当然って──」 「わ‥分かっておるわっ。ただあの時は偶々‥」 そう言いながら、肩を落とす雛菊。 実際、あの時自分は危うかったのだ。 この男が庇ってくれなかったら、今どうなっていただろう。 「───────」 「華郎‥?」 「‥草助」 「何だよ、急に」 「‥有り難う」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |