《MUMEI》 「ん‥? 何だよ、急に素直になって」 「なっ‥それでは拙者がいつも捻くれているようでは無いかっ」 「だからいちいち怒るなって‥」 苦笑しながら、草助は辺りの様子を用心深く伺っている。 「何だ、気配がするのか?」 「いや、まだしねぇけど‥、一応、お前も気を付けといた方がいいぜ? 」 「ああ、分かった──」 頷くと、雛菊はふと思い付いたらしく口を開く。 「草助は──ずっと侍をやっているのか?」 「まぁな。少なくともお前よりは長く──」 やってる、と言い掛けて、草助は口を噤んだ。 雛菊が不満げにまた膨れっ面をしていたからだ。 前へ |次へ |
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