《MUMEI》 夜になりました。 夜空には三日月が浮かんでいます。 僕は黒マントの衣装を羽織り、御菓子のバスケットを手にアンリ様を御待ちしています。 ノックがしたので扉を開けようとすると、遠慮がちに開いて、その隙間から先端の折れた三角帽子がひょっこりと覗いたのです。 「‥?」 きょとんとしていると、たちまちアンリ様が飛び出して来られました。 「ぁ‥」 三角帽子にワンピース、そしてローブ。 全てが黒い色で統一されていて、手には箒。 「魔女──ですか?」 前へ |次へ |
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