《MUMEI》

増援を受け、さらに3時間が経過した。

開戦してからは半日ほど経っているが、まだ弾薬は充分に残っている。それは青年の説明した戦法のおかげだった。

「おい、次はさっきと反対で行くぞ!」

崩れ果て、瓦礫の山となった建物の陰に隠れた兵士がそういって、小機関銃を持った者が数人、前に出る。

ガガガガガ!

全員トリガーを弾くが、弾丸は出ていない。

続いてその後ろに隠れていた兵士が2〜3人、まだ原型を留めていて、敵が隠れていそうなビルに手榴弾を投げた。

一つは大きな音を出し凄まじい閃光を放って、残りの二つは爆発して、ビルの支柱と敵を数人吹き飛ばした。

ビルは倒れ、爆発から逃れた敵兵がこちらに向かってくる。だがしかし。

ガガガ!

今度はちゃんと弾丸が出てきた。

辺りに敵がいないのを確認し、みんなまた物陰に隠れる。

これが青年の言っていた戦法。

「いいか、この戦い方は市街戦だから出来るんだが、簡単だ」

あらかじめある程度建物を壊し、隠れる場所を造っておく。

そして敵が来れば、まず空砲で威嚇する。すると相手は驚いて物陰に隠れる。そこに手榴弾を投げ込んでしまえば、効率がいい。消費するのは手榴弾だけだ。

もし相手が突っ込んでくるようなら、そこで実弾を使えばいい。

卑怯かも知れないが、それが彼の戦い方だ。

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