《MUMEI》
受け取り拒否
(あ、そうだ)


俺は、一応厳と頼に誕生日プレゼントを買っていた。


「はい、これ」

「ありがとう」


まず、俺は隣にいる頼にプレゼントを渡した。


何故か、パーティーが始まっても、頼は女の子達に見向きもせず、俺の側にずっといた。


「じゃあ、厳にも渡してくる」

「え? まさか、厳にも?」

「? 当たり前だろ」


(今日は、厳と頼の誕生日なんだから)


普通は両方にやるべきだと俺は思っていた。


その証拠に、厳に誕生日プレゼントを渡した一人の女の子が、頼の所にもプレゼントを持ってきた。


しかし


「あの、頼君…」

「…いらない。つーか、お前、厳に呼ばれたくせに、何で俺にも渡すんだよ」


頼は冷たく言い放ち、結局受け取らなかった。


(何でだよ)


俺は、驚きを隠せなかった。


「お前、普通に受け取ってたじゃないか」


放課後、部室に現れた頼は、確かに女の子達からもらったというプレゼントをいくつか持っていて


演劇部員からのプレゼントも普通に受け取っていた。


「ここに、厳に呼ばれた女からは、受け取りたくないから。だから、祐也も渡さないで、厳に」

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