《MUMEI》

「反抗したんだよ。」


「嘘だろ?蓮翔ちゃんが?」


「なんだよ、意外かよ?」


「ああ、だってお前、
昔そーとー泣き虫だったじゃん?」


「昔はな!
今は違うの!!」


「…ふーん……。

で?どう反抗したんだ?」


俺は得意気に胸を張ると、こう言い放った。


「真っ向勝負したんだ。」


「真っ向勝負ぅ?」


「うん。
野球は一人でやるもんじゃねぇだろ?」


「まあ、そりゃあな。

見てれば分かる。」


「うん。
でもあの時の親父は、俺しか見てなかったんだ。


俺を将来大スターにしてやるっつう夢を見過ぎてな。」


「蓮翔ちゃんの親父は選手だったんだろ?

自分の夢叶ってるんじゃないのか?



「いや、親父は選手で結構活躍してたみたいだけど、
本当はメジャーリーグに出たかったんだよ。」


「メジャーリーグって、
アメリカのあの有名な?」


「うん。
結局親父は実力不足で行けなかったんだ。」


「それで蓮翔ちゃんに自分の夢を押し付けたのか。」


「うん。
酷かったぜ?

俺がミスしたらその回数分殴るんだぜ?

しかも本気で。

チームメイトになんか目もくれずに俺ばっかり指導して来るし。


親父が立ち上げた倶楽部なのに、
それじゃあ意味無いよなあ。」


「確かにな。」

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