《MUMEI》
パーティー終盤
「どうせサイズは一緒だからいいよ。

たまには違うの欲しいし。

ね? そっちも頂戴?」

「嫌だ」


甘えてくる頼を俺は押し退けた。


そして


ズンズンと、厳の所へ行き

「受けとれ、厳」


睨みながら、厳にプレゼントを押し付けた。


「え? あ、…ありがと」


厳は俺の勢いに負けて、プレゼントを受け取った。


(ちょっとスッキリした)


そして俺は、頼の隣に戻った。


「じゃあ、そろそろお開きにしようか。明日皆学校だからね。

あ、片付けはこっちでやるからこのままでいいからね」


微妙な空気を和ませたのは

やはり、大志さんだった。

(やっと帰れる)


ホッとしたのも束の間


「祐也は残りなさい。それから、厳と頼も部屋に行かないように」


(…ブリザード、再び)


氷の微笑を浮かべる果穂さんが、そこにいた。


「ねえねえ、美鈴泊めちゃだめ?」


(何言ってんだ、こいつ!?)


明らかに空気を呼んでいない厳の頭に


ゴンッ!


「…痛っ…」

「…」


果穂さんは、飛び上がって拳を振り落とした。


…とても、孫がいるとは思えない素晴らしい動きだった。

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