《MUMEI》 「…ちょっと残念だったな」 しばらく無言で歩いてると、先輩が口を開いた。 「…何がっすか??」 「何って、浴衣。 ―…ちょっと、浴衣期待してたんだ」 「あー、…すんません」 「いやいや、謝ることは無いんだけどさ、 やっぱり男として、浴衣って期待しちゃうもんなんだよね」 「…はあ」 浴衣は、おれが上手く歩けないだろうということで、却下。 今日おれが着てるのは、白いワンピースだ。 ―…おれが着てるってことで、充分気持ち悪いが。 …でもまあ、おれも先輩と同感。 蓬田の浴衣姿は見てみたい。 「まあ、浴衣っていろいろ大変だしね。 …着付けとか。 ―…だから、浴衣じゃない方が逆に良いかもね」 そう言って、爽やかスマイルを浮かべる先輩。 「そうですねー」 おれも、笑って答えた。 前へ |次へ |
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