《MUMEI》 「何か食べる??」 所狭しと並ぶ屋台を見ながら、先輩が訊いてきた。 人もかなり増えてる。 …蓬田は、大丈夫か?? 辺りを見渡そうとしても、 蓬田の身長じゃ、人が邪魔で何も見えない。 「かなめちゃん、何か食べたいのある??」 もう一度、先輩が訊いてきた。 「うぇ??―…えーっと…」 イカ焼き、が食いたい。…本当は。 でも、ここは『可愛らしく』だ。 「…わ、わたあめ??」 おれがにっこり笑って答えると、 「わかった、買ってくるからちょっと待ってて」 先輩は、屋台に向かって歩いていった。 先輩とすれ違うたびに振り返る女の子がいっぱいいた。 ―…やっぱ、カッコいいんだよな。 前へ |次へ |
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