《MUMEI》

綿飴を選んだのは正解だったかも。


おれが食べなくたって、勝手に溶けてくれた。



「あのー…どこ行くんすか…??」


「ん??…ひみつ♪」



なんだそれ。

ってか、手え離して欲しい。


よく考えたら、これ蓬田の手だし、
蓬田と先輩が手ー繋いでるってことになんねえか??


うわ、それやだ。



「…せんぱい、手、痛いですー」



おれが棒読みで告げると、



「え?…あ、ごめん!つい―…」



そう言って、先輩は手を離した。



蓬田だって、ちゃんと自分で先輩と手、繋ぎたいだろうし。


…ってことで。



「着いたよ」



先輩がおれを振り返る。



??―…どこだ、ここ?



ってか、誰もいねえ―…



「ちょっと話そうか」



と、爽やかスマイルの先輩。



「あ、はい…」



おれは、先輩が指差したコンクリートの階段に腰掛けた。

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