《MUMEI》 『おれ』の番号を呼び出しながら、 辺りを歩いてみる。 今日は散々な目に遭ったな… 何度目かの呼び出し音の後、電話が繋がった。 「あ、もしもし?」 『も、もしもし…』 何故か泣き出しそうな蓬田。 「どうした?何かあったのか!?」 『…椎名くん…もてすぎ…』 「はあ?何だそれ」 『ううん、こっちの話…。 椎名くんこそ、どうかしたの??』 「…………」 …キス、されそうになったことを言おうか迷った。 蓬田は、やっぱり喜ぶんだろーか。 『どうしたの?今どこにいるの?? 私、見失っちゃって―…』 「ああ、そうだ、今小学校の―…」 そこまで喋って、携帯を耳から離す。 …雑木林から声が聞こえる。 ―…何か、いやな感じがする。 『…もしもし??椎名くん?』 「しっ、また後で掛け直す」 そう言っておれは電話を切った。 おれは、木の陰からそっと声の主を盗み見た。 前へ |次へ |
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