《MUMEI》 しばらくの沈黙。 決まり悪そうに目を逸らしていた先輩が おれに目を向けた。 「…聞いてた??」 おれが黙って頷くと、 「うわー、マジかよ」 と、小さく呟いた。 「…謝れよ」 おれが言うと、 「…はい??」 先輩が半笑いでおれを見た。 「…謝れっつったんだよ、ボケ」 先輩の目の色が変わった。 「…あ??」 おれは、先輩に詰め寄った。 おれが見上げる格好になる。 …くそ、ホントならおれが見下ろすはずなのに…。 「…ふざけんなよ、てめえ。 蓬田がどんだけアンタのこと好きか分かんねえのかよ」 「はあ??…何言ってんの。 大体、俺の事好きなんだったらいいじゃん、何されてもさ」 そう言って先輩はおれの肩を掴むと、 木に強く押し付けた。 「…っざけんな…っ」 …悔しい。 蓬田の好きな男が、こんなサイテーなヤツだったことも、 こんなヤツに、蓬田が傷つけられることも。 先輩が、おれを地面に押し倒した。 前へ |次へ |
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