《MUMEI》

「…っ!!」



先輩の手が、スカートの中に入ってくる。



…気色悪い、


触んな、



汚い手で、




―…蓬田を、触るな。




おれは、先輩の手を払いのけた。



おれが睨みつけると、
先輩は困ったように笑った。



「…ホントは嬉しいんだろ??…大好きな先輩に、
こんなコトしてもらえんだよ?」


「…黙れ、変態」



おれが言うと、先輩の顔から笑顔が消えた。



「…てめえ、いい気になんなよ??
―…純情ぶってっけど、どーせ慣れてんだろ!?」





―…キレた。



おれは少し身体を起こし、
おれの服の肩紐に手をかけようとする先輩の顔に、


―…正拳突きを一発。



蓬田の身体だし、体勢も悪かったから威力はないけど、
場所は見極めた。



「がっ!!」


ばき、という鈍い音に先輩のうめき声が混じる。



―…ここは、逃げるのが先決だな。



素早く立ち上がって駆け出す。



「くっそ、ふざけんな!!」



鼻を押さえた先輩が、すぐに立ち上がって追いかけてくる。


体格が違いすぎる、追いつかれる…!!



…ほんとは、使いたくなかったが。


おれは、おれの肩を掴もうと後ろから手を伸ばしてきた先輩に、



そのまま後ろ回し蹴りを繰り出した。

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