《MUMEI》

庭園も捜索したのですが‥アンリ様の御姿はどこにもありません。

御邸にも、庭園にもいらっしゃらないとは‥。

肩を落として広間へ戻ると、僕は溜め息をついて壁に凭れました。

アンリ様が何も御告げにならずに御外へ行かれるなど、考えられません。

ならばやはり、この御邸の何処かに──‥。

ですが、御部屋や食料庫も全て見て回った筈‥。

そう思いながら、僕は再び捜索を始めました。

「‥?」

長い廊下の、一番奥。

「扉‥?」

奥まった所に、僕は扉を見付けました。

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