《MUMEI》

「‥おお‥、なかなか綺麗な形をしているな」

 感心したように呟いた雛菊を見るなり、草助が思わず苦笑する。

「お前、変わってんだなぁ」

「な‥っ、何が可笑しいというのだっ」

「わりい、わりい‥。けど、何か面白ぇ奴だなってさ」

「面白い‥?」

「ああ、お前みてぇな奴に会ったのは初めてだ」

 草助が笑い掛けると、雛菊は小首を傾げて考えこんでいる。

 すると。

 ぐぅぅ、と彼女の腹の虫が鳴った。

「遠慮してねぇで食えって」

 又も笑われ、雛菊は頬を赤らめた。

(無礼者め‥)

 心の内でそう呟きつつ、雛菊は握飯に齧り付いた。

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