《MUMEI》

ランプを手に、扉の所へ戻って来ました。

ランプを掲げて照らすと、階段の向こうには廊下が続いていて、両サイドには扉が並んでいます。

「アンリ様、いらっしゃいましたら御返事を──」

いらっしゃらないのでしょうか‥。

とにかく──確かめてみなくては。

階段を下り、地下へと降りると──

アンリ様の髪飾りが落ちていました。

「このリボン‥」

やはり、あの御方は此処に‥。

「アンリ様、いらっしゃいますか?」

一体──どの御部屋にいらっしゃるのでしょう‥。

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