《MUMEI》
8/1-2
「夏休み、良いなぁ...」

拗ねた子供みたいに、パパがアタシを見た。
ブルーベリージャム(隣のオバサン特製。お喋りは頂けないけど、ジャムは超美味しいの)でパンの白を全部塗り潰してる時に。
パパの顔が、本当に夏休みが欲しくてしょうがない子供みたいな顔だったから、笑いを堪えきれないながらもアタシは聞いてあげる。

「...忙しいの? 」
「...忙しいの」

わざとおざなりに見えるように、パパの頭を撫でてあげる。
面倒臭いから宥めてあげる、って感じでね。

顎をかりかりされた猫みたいな満足げな顔で、娘に頭を撫でられる32歳。
今にもごろごろと喉を鳴らすんじゃないかと思う位、パパは心地良さそうに目を閉じてる。
うーん。我がパパながら、大丈夫なんだろうか、この人...

「あ、パパ時間平気なの」

パパは夢から覚めたように、時計を見て青くなってパンをその大きな口に放り込む。

「今日遅くなるから、先に寝てなさい。ご飯は鍋に昨日のカレーの残りがぁ...あぁ、よし、あるな。
夜10時には寝る事、歯磨きをする事、知らない人にはついていかない事! 良い子でな」

そう言ってパパはアタシの髪をぐしゃぐしゃってかき回して、頬っぺにちゅーする。

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