《MUMEI》 「おはよう、かなめ」 「…おはよう」 青木が、いた。 おれが席に着くなり、青木が口を開いた。 「…昨日のお祭り、どうだった??」 「…え??―…ああ、楽しかった、よ」 とりあえず、そう答える。 「あたしもね、行ったんだ。 リッコと、ゆかと3人で」 「へ、へえ…」 「かなめ、見たよ」 青木が微笑む。 「…え??」 「…だから、かなめを見かけたの」 見かけたって言うより、と呟いて 青木は微笑んだまま、言葉を続ける。 「―…椎名君の腕引っ張って、どっか行っちゃった。 …あたしにも気付かないくらい、急いでたみたいだったけど」 「―………」 あのとき蓬田と話してたの、青木だったのか…! 「…椎名くんと、何かあったの?? 椎名君、ずっとかなめのこと探してたみたいだったよ」 「―……それは、」 「ていうか、かなめ、 その日西城先輩と約束してたよね??」 青木の言葉が終わらないうちに、 大きな音でドアが開いて、同時に大きな声が響いた。 「かなめ、大丈夫!?」 前へ |次へ |
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