貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
ブルー・フェイクA
青く広大な海をフェリーは波を切って進んでいた。
「へぇー、この船は年代物のアクアドライブエンジンを使ってるのか」
「わかるの?」
「音でね」
今日は快晴で、爽やかな青空が遥か彼方の地平線まで続いていた。
「あーあ、初めての船旅をこんな形で体験することになるなんてなぁ」
「いいじゃない、とっても風が気持ちいいし」
こうも晴れ晴れとしていると、これからの事を忘れてしまいそうだった。
というより、今は忘れていたかった。




キリマンジャロ…
険しい山脈が続くその一角にガル・ズィーの本拠地が存在した。
その地下深くでは次々とモビルトルーパーの生産・開発が行われている
中央部では先日の戦闘により霧島市を徹底的にマークしていた。
おっと、レーウェイン総帥のお出ましだぜ。
「その後の動きはどうか?」
「連邦の空母イーグルスが霧島市より発進したようです」
例のモビルトルーパー
こちらのデフを三機相手に勝利した機体…
面白そうな相手だ。
「後、民間人を乗せたフェリーが二隻出ています。」
「ふむ…」
その時、俺の横に座っていた女がスッと立ち上がった。
作戦参謀長のマリアナ・ヘクタだ…
…総帥の愛人でもある。
「閣下、新型機のテストにはちょうどよい事態かと…」
「アグライヤの?アレは空中戦主体がコンセプトであったな」
アグライヤ…
デフと平行して開発された空中戦に特化した機体だ。
もっとも地上戦闘はできない、落とされればただの的だ。
「…ガウス、出られるな?」
ちッ、俺を実験に使う気かよ
「…いいぜ、モビルトルーパー戦ってのは面白そうだ。」
「カイゼルも連れていけ」
カイゼルだと…
あんな気味の悪い仮面男をなんで俺が
「了解だ」
「しっかりと閣下の期待に応えてみせよ、ガウス・ガウディ!」
てめえに言われなくたってわかってるっつーの



格納庫では既にスタンバイは出来ていた。
「ご苦労様です。」
「エンジンはいけるのだな?」
「はい、出力は安定しています。」
フン…そうでなければ困る
「…カイゼルはどうした?」
「はっ、既に機体に搭乗されております。」
ったく、相変わらずやることなすことが機械的な野郎だ。
無線を入れる。
「おい、聞こえてんな仮面野郎。遅れんなよ!」
カタパルトに機体を固定しブースターペダルを踏む。
「へっ、いい加速だ!」
アグライヤは風を切り、俺とカイゼルはイーグルスに一直線に加速した。

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