《MUMEI》 「草助、竹刀を借りるぞ」 「ああ、気ぃ付けてな──」 「お前も来るのだ」 「何で‥?」 「拙者に稽古を付けてくれるのであろう?」 「ん、ああ──そうだったなぁ」 その間延びした返事に些か苛立ちを覚えながらも、雛菊は竹刀を片手に一足先に外へ出た。 (‥あいつの腕は確かだ‥。しかし‥) その刹那、彼女の右肩に軽く竹刀が当たった。 「‥‥、草助、お前‥」 「隙あり、ってな」 又もや、にぱっと笑う草助。 雛菊は戸惑った。 「い‥、いきなり卑怯では無いかっ」 「相手に隙を見せたら負けだぜ?」 「な‥」 草助の言っている事は最もだ。 前へ |次へ |
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