《MUMEI》

「草助、竹刀を借りるぞ」

「ああ、気ぃ付けてな──」

「お前も来るのだ」

「何で‥?」

「拙者に稽古を付けてくれるのであろう?」

「ん、ああ──そうだったなぁ」

 その間延びした返事に些か苛立ちを覚えながらも、雛菊は竹刀を片手に一足先に外へ出た。

(‥あいつの腕は確かだ‥。しかし‥)

 その刹那、彼女の右肩に軽く竹刀が当たった。

「‥‥、草助、お前‥」

「隙あり、ってな」 

又もや、にぱっと笑う草助。

 雛菊は戸惑った。

「い‥、いきなり卑怯では無いかっ」

「相手に隙を見せたら負けだぜ?」

「な‥」

 草助の言っている事は最もだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫