《MUMEI》 嘘 〈私〉嘘だと思った。 絶対に、嘘だって… でも、椎名くんは笑って 「…なんかムカついたから殴った、それだけだ」 と、言った。 気がついたら、椎名くんのほっぺたを叩いてしまっていた。 ―…目を覚まして欲しかった。 きっと、今の椎名くんは、何かがおかしいんだ。 そう思った。 だけど、 「…おれの何がわかんだよ。 ―…お前も、男ばっか追いかけてんじゃねーよ」 椎名くんの口から、出たその言葉で、 何かが音を立てて崩れ落ちた。 「…サイテー!!」 私はそう叫んで、保健室を飛び出した。 前へ |次へ |
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