《MUMEI》

だが、何か腑に落ちないといった様子で雛菊は俯いた。

「稽古、やんねーのかぁ?」

「や‥やらぬなどとは‥」

「じゃ、先ずは素振り五十回」

「‥な‥!?」

「え、少ないか?」

「‥むっ‥何も言わぬ内から勝手に予測ばかりしおって‥」

「わりいわりい‥」

 草助は苦笑で誤魔化すと、自分は先に素振りを始めた。

 びゅっ、びゅっ、と風を切る音。

「ほぅ‥なかなかのものだな‥」

 雛菊が呟いたのが聞こえたか、草助は動きを止め彼女に笑い掛けた。

 雛菊は刹那頬を赤らめ、ぎこちなく竹刀を振り始める。

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