《MUMEI》

「ふぅ‥」

 素振りを終え息を吐いた時、

「ほい」

「‥!?」

いきなり目の前に突き出された竹筒に雛菊が目を円くしていると、

「ただの水だって」

草助は苦笑を浮かべ、中身を見せて示した。

「何だ‥水か‥」

 雛菊は竹筒を受け取ると、中の水を一口飲んだ。

「──────‥」

「疲れたか?」

「つ、疲れてなど‥おらぬ」

 竹筒を置くと、再び竹刀を構える雛菊。 

 すると草助が苦笑した。

「休憩挟んで、それからやりゃいい」

「──呑気な事を言ってはおられぬのだっ」

 あまりの剣幕に、草助は目を円くする。

「‥華‥郎‥?」

「‥済まん」

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