《MUMEI》

僕は、アンリ様と2人でトランプを捜していました。

すると、棚の引き出しからセピア色の古びた小箱が出てきたのです。

「アンリ様、これは──」

僕がそれを取り出して示すと、

「あっ」

アンリ様は何かに御気付きになったらしく駆け寄って来られ、小箱をご覧になるなり嬉しそうに、

「ここにあったんだぁ」

そう仰り、僕に微笑み掛けて下さいました。

「ありがとう、見付けてくれて──」

「この小箱に入っているんですか‥?」

「うん。だいぶ昔のだから色褪せちゃってるけど──」

苦笑しながら仰り、アンリ様は僕の手から小箱を御受け取りになりました。

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