《MUMEI》
宛名不明
朝、疲れは顔を洗ってクリアにする。
アラタは新しい制服を着込む。包帯を巻く。手術用手袋を穿く。
上から肘まであるゴム手袋を嵌め、日課をこなす。
郵便受けを探る。
手応え。
手紙だ。 今をもって、絶不調から最高潮に。
「はは……、イッちゃいそ」彼がこんな言葉を言ったことを聞かれた日には、その場で全員皆殺しだろう。
久しぶりのハイ
今なら橙色の便箋に接吻も出来てしまう。
……する訳無いが
こちらの住所はきっちり書かれている。
宛名は
煉獄
神なんて信じないが、カトリックでは死者の霊が天国に行く前に、地獄と天国の間の場所にあるこの炎に浄化されるという。
もし愛が存在するなら、
二番目にアレに誓ってやってもいい、
アレの炎にならこの身が焼かれても構わない。
……ホントは、熱いの苦手だけど
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