《MUMEI》

ジンジャーエールをカップに入れて御出しすると、アンリ様はにっこりと微笑んで下さいました。

ジンジャーシロップを御湯で割って、蜂蜜を加えてみたのですが──

「如何でしょうか」

「美味しい──」

その御言葉に、僕は心底安堵しました。

「御気に召して頂けて良かったです」

何しろ、この飲み物を作ったのは初めてなのですから──。

「晩餐は、何に致しましょう」

「簡単なお料理でいいよ」

「──と‥申しますと‥」

「リュートの作ってくれるお料理なら何でも」

それは、本当に嬉しい御言葉でした。

僕はキッチンに向かいながら、嬉しくて堪りませんでした──。

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