《MUMEI》

何を作ろうか迷いましたが、僕はリゾットという御料理を作ってみました。

アンリ様は大層御気に召されて、御代わりをして下さいました。

御食事を済ませた後、再びトランプのカードを取り出されたので、また御相手をさせて頂く事になりました。

アンリ様は本当に楽しそうにされて、夢中になってらっしゃいました。

「───────」

「アンリ様‥?」

どうやら、御休みになられてしまったようです──。

御疲れになっていたのでしょう。

僕はアンリ様を横抱きにして、ベッドのある御部屋へと向かいます。

このまま抱かせていて頂きたい所ですが──‥御目覚めになられた時に驚かれるでしょうからね、やはりベッドの方が宜しいかと。

「また後程、御伺いに参ります」

僕はそう囁いて、御部屋を後にしました。

夜中に頂く報酬の、甘い味を想像しながら。

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