《MUMEI》
決着後
そこでようやく観客から声が聞こえる。
「団長〜美し過ぎです!!も〜犯罪!!」
「ごま、ナイスファイト!!惜しかったぜ!」
「それ6式なのかよ!!まじで人間じゃねぇなごま!!」
「彩詩様〜流石です!!華麗にして過激!神話の戦女神様だってこんなにかっこよくは無いですわ!!」
「お二人とも速過ぎです!!よく見えなかったじゃないですか〜!」
うんうんと嬉しそうに笑顔を浮かべ手を振る彩詩。
ガシャっと金属音が聞こえ振り向くとごまが膝をついている。
「・・・大丈夫?」
「肘が効いた・・かなり痛い〜」
良く見れば鎧が凹んでいる。慌てて肩を貸し救護場所へ運んで行く。
「きゅ〜・・痛い〜彩詩の馬鹿力〜」
「ごめんって。でも真剣にって言ったのごまだよ〜ってかごま重い!!」
「きゅ〜・・」
言葉を交わしながら歩いていく二人。
「あぁ!!団長〜俺にも肩かしてください!!!ごまなんか転がしておけば直りますって!!」
「相手を思いやる姿・・ご立派です〜」
無責任な声も聞こえるが、悪意が無くただの冗談であることが解る。
「見えたかな?一応僕が君にホークアイ掛けておいたから・・大丈夫だと思うけど。」
その声にようやく我に返る狩月。あまりの強さに驚き固まっていたようだった。
「見もせずに寝てるんですか?まったく・・」
そう言う式夜の顔も興奮冷めやらぬようで赤くなっている。
「見てましたよ!!ただ・・その、すごすぎて驚いてただけで・・」
すごすぎると言った言葉を聞き満足そうに笑みを浮かべる式夜。
その二人を笑いながら見ているバンプ。周囲では先ほどの試合について話をしながら散っていく騎士達。
「さてと・・行くよ〜彩が君と話をしたいって言ってたしね。」
そう言うとこっちこっちと歩いていく。式夜は私はこれで、そう言うと救護場所の方へ歩いて行く。
「式夜!ありがとうね。」
怪訝そうに狩月を振り返る式夜は、
「主人からの命令だったから案内したに過ぎません。礼は不要です。」
そう言い歩き去っていく。バンプが小さくため息をついているのが聞こえた。
「式夜のこと気にしないでいいからね。誰に対してもあんな感じなんだよ。まぁ彩に対してだけ態度が違うんだケド・・」
申し訳なさそうに歩いている。顔は見えないが、きっと苦笑しているのだろう。その後もバンプは守護騎士の話を続けてくれた。

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