《MUMEI》

元々感情の薄い、他人に興味の薄い勇樹は、母親が亡くなってからそれは更に酷くなった。



強引に誘えば俺の家に何時でも来たのにほとんど来なくなった。





だから抱きしめられたのはその数日だけ。





そのぬくもりを思い出しては心が、体が熱くなった。





今まで涙を見た事がなかったのに、



心の叫びを聞いた事もなかったのに







「くそ……、なんなんだよ、俺じゃダメなんかよ…」




たったキス一つであの男の心に侵入した修平という存在。







すがる勇樹を置いていく修平……。






「…何様だっつーんだよ、ふざけんな」

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