《MUMEI》
涙目の二人
「何で叩くんだよ…」


厳は涙目になっていた。


「当たり前でしょ」


(そりゃ、そうだよな)


果穂さんの言葉に俺も同感だった。


堂々と松本を


女の子を泊めるだなんて


普通、言わない…


「だったら最初からあの子だけ連れて来なさいよ!」
「… … え?」


俺は、かなり間抜けな顔をしてしまった。


「そしたらちゃんと泊めてあげたし、女の子のお泊まりセット、ちゃんとあんた達の部屋に持って行ってあげたのに!」

「ちゃんと用意したのに、無駄になっちゃったな」


怒り狂う果穂さんに


ガッカリしたような大志さん


「怒るとこ、…そこ、…ですか?」

「他に何かあるの!?」

「…い、いえ…」


本当は、ありますと言いたかったが、言えなかった。

「じゃあさ、祐也はお泊まり…いい?」

「なっ…」


ゴンッ!


「…痛っ…」


俺の肩を抱いた頼の頭を


果穂さんは、厳にしたように、飛び上がって叩いた。


「叩かれてやんの。だいたい、男の祐也を連れて来るからだよ」

「仕方ないだろ…

だって、祐也は…」


さっきの厳と同じように涙目になりながら、頼は続けた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫