《MUMEI》

このまま、お人形のように、ただ笑って過ごしていくのかしら…


そう思っていた、十五の夜

私の部屋に、大奥様と、使用人の晴香さんがやってきました


大奥様は、気品に溢れた素晴らしい方


そして、てきぱき働く晴香さんは、私の理想の女性です


その日も小さな発作を起こして早くから寝床に入っいた私は、慌てて起き上がりました。


そして


大奥様の質問に、私は素直に答えました。


旦那様も、治人様も、昭人様も同じ位、大好きだと。

私の答えを聞いた大奥様は、何故か、無表情でした。

だから、怖くて言えませんでした。


『それから、大奥様も、お屋敷の皆も同じように大好きです』


その、一言が。


私から大好きと言われても

大奥様は、喜ばない。


そう、思ったんです。

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