《MUMEI》
名前
「というわけで、散々なパーティーだった。

まぁ、ケーキは美味しかったけど!」


その夜も、俺はいつも通り忍に報告の電話をした。


(来るか? 嫌味)


俺は、ゴクリと唾を飲み込んだ。


《青い瞳の、…エイミー?》


(あ、あれ?)


頼に気に入られた事に対する嫌味を予想していた俺は、拍子抜けした。


(しかも…)


『エイミー』


普段、固有名詞を口にしない忍が、何故か、会った事もないアメリカの少女の名前を口にした。


「もしかして、知り合い?」

《… … いや》


(珍しい)


かなり、間があった。


「何だ? 恋人と同じ名前とか?」

《それは無い》


チッ


(だったら面白かったのに)

《変態双子の片割れが、エイミーを気にしていたんだな?》

「そうだよ。てゆーか、何でエイミーは名前なんだよ」

《気分だ》

「ハァ?」

《気にするな》

「するに決まってんだろ!」

《気にするお前もなかなか可愛いな。

…嫉妬か?》

「んなわけあるか」

《心配しなくても、俺は一途だ。
じゃあな》


(何か、誤魔化されたような)


それから、忍はエイミーの名を口にしなかった。

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