《MUMEI》

「あ、わりい‥本気じゃなかったつもりなんだけどな」

「な‥」

(この速さで‥本気では無いだと‥?)

 この舜速ならば、あの時雛菊を救えた理由も分かる。

(成程この男──只の放浪侍では無いようだな‥)

「華郎―?」

「ん‥」

「もう止めんのか?」

「誰もそのような事は言うておらぬだろう」

 雛菊は草助に向き直ると、竹刀を構える。

「やる気は満々みてぇだな。よしっ、じゃあいくぜ?」

 草助の台詞が終わるや否や、打ち合いの稽古が始まった。

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