《MUMEI》 〈第二十五話〉眠れない子守唄『ケニー、放課後〜話があるから…』 そう言って僕は、居眠り常習犯の、ケニー・ハロルドを呼び出した。 『はい、先生。』 彼は眠そうに返事をした。 僕は小学校の先生だ、ケニーは素直な子で、頭もよいし運動神経も申し分ない。 ただ1つ…授業中に限らず、居眠りが多い事…今日は、その理由を聞く為に呼び出したのだ。 『さて、ケニー、君はなんで呼ばれたか?分かっているね。』 僕の問い掛けにコクンと頷く。 『先生…ごめんなさい僕…眠らないように頑張るんだけど…』 『うん、ケニー、夜は遅くまで起きているのかい?』 『ううん…妹や弟と早くベッドに入るよ。』 『それで…すぐ眠るんだね?』 『…いえ、すぐには…』 『なんで?ベッドに入れば眠くなるだろ?』 『あ…の…』 そう言ったきり、ケニーは口をつぐんでしまった。 『ケニー、教えてくれなきゃ、僕としてもお家の方へ連絡しなきゃならなくなるんだ。』 『ジャビィには、言わないで…』 ケニーは慌てて叫んだ。 …ジャビィさんは、ケニー達三人兄弟を引き取り、面倒を見てる女性である。 血の繋がりもない彼等を、我が子のように可愛がり育てている 前へ |次へ |
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