《MUMEI》
第二華
 竹刀がかち合う音。 穏やかな陽気の中、雛菊は稽古に励んでいた。

 だが、草助の腕は予想以上だった。

 渾身の一撃でさえも、彼は軽々受け止めてしまう。

 そして、交わす間もなく肩を打たれた。

「‥っ」

 己ですら気付き得ない、一瞬の隙を突いてくる。

(この男‥‥‥何者だ‥?)

「休憩すっかぁ。な、華──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「ぁ‥わりい、調子乗っちまったな」

「いや、‥拙者が至らぬだけだ」

 雛菊は力なく項垂れ、縁側に腰を降ろす。

 草助は苦笑を浮かべ、彼女の傍らに腰掛けた。

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