《MUMEI》

授業を、さぼってしまった。


昼休みになっても、立ち上がる気力が湧かない。


そのままぼーっと階段に腰掛けていると、


『にゃー』


ネコの声。


顔を上げると、白猫が植え込みの傍にきちんと座っていた。



―…あ。



あのネコ―…



『にゃー』



ネコは、もう一度鳴き声を上げると、
お辞儀をして植え込みに消えた。



―…お辞儀!?



びっくりしたけど、追いかける気も起こらなかった。


ただの思い違いだろうし。




…5限目の始業のチャイムが鳴った。

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