《MUMEI》
勉強 〈おれ〉
昼休みになっても、蓬田は戻ってこなかった。


―…やっぱり、酷いこと言ったよな。



西城先輩がサイテーな男だ、
ってことさえ蓬田にバレなければ、それでいい。


おれのせいで、蓬田が先輩に嫌われたと思ってくれれば、それで―…



そう思ってたけど、




やっぱ、キツイな…




「あれ、みつるは??」



まっすーの声。



「朝からいないっすよー」



瀬田が答える。



…蓬田、泣いてんのかな…



「…なんだ?サボりかー??
あいつ次のテストで赤点取ったらヤバいのに…」



…テスト、か…



何気なく、蓬田のノートをめくる。



…すげえ、細けえ…


驚くくらい、きれいにまとめられたノート。


そういやあいつ、獣医になりたいんだっけか…


何度も見返したんだろう、ノートの端は少し曲がってる。



生物、次のテストでもしおれがひどい点取ったら、
そのまま蓬田がひどい点取ることになるんだ。



―…今日、図書室で勉強するか。

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