《MUMEI》 図書室、入るの2度目だな。 ―…蓬田と来た時以来。 殆ど誰もいなくて、しんとしてる。 おれが空いている席に着こうとすると、 「あら、久しぶりね!!」 と、声を掛けられた。 「…へ??」 振り返ると、見知らぬ女の先生。 その先生は、片手に本を抱えて、 もう一方の手で棚に並べながら優しく微笑んだ。 「ここんとこ、蓬田さん図書室に来なかったから、心配してたのよ」 …図書室の先生か。 持っていた本を全部並べ終えると、 かけていた眼鏡を外して、 眼鏡拭きで拭きながらその先生は続けた。 「あなた、毎日放課後遅くまで残って勉強してたから、 体調でも崩しちゃったのかなーって」 「………」 「でもよかった。 お勉強、頑張ってね」 そう言って眼鏡をかけなおし、 先生はカウンターの方へ戻っていった。 前へ |次へ |
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