《MUMEI》

「──ふぅ‥」

だいぶ遅れて、僕はようやく雪玉を完成させました。

アンリ様に御手伝い頂いて、その雪玉をもう1つの雪玉に乗せます。

「後は──顔‥でしたよね」

「うん。──ちょっと待っててね」

御邸から木炭とニンジンを抱えて庭園に戻って来ると、アンリ様は更に、落ちていた小枝を2本拾われました。

「その小枝は何に御使いになるんですか‥?」

尋ねると、

「後で分かるよ」

木炭で目を、ニンジンで鼻を作り、そして更に、アンリ様は下の方の雪玉の両サイドに枝を刺し、御自分の手袋をそこに嵌められました。

「──成程‥」

枝は腕になっているんですね──。

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