《MUMEI》

満足そうな表情を浮かべて、アンリ様は御自分のマフラーをスノーマンの首に当たる部分に巻き付けられました。

「出来たっ」

にっこりと微笑むと、アンリ様は隣りに並んで、僕の手をそっと握って下さいました。

すっかり冷えきって、冷たくなっている小さな手。

「ぁ‥ごめん、冷たい、よね」

苦笑を浮かべながら離そうとされた手を、僕はもう片方の手で包み込みました。

「リュート‥?」

「一度、御邸に戻りましょうか。何か──暖かい御飲み物を御作り致します」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫